top of page

ジョン・ピエラコスとは何者だったのか?


エヴァのご主人であるジョン・ピエラコスは、今日多くのセラピーで使われているコアエナジェティックスと呼ばれる身体精神療法の開発者です。


「ジョンはエヴァと出会った後に、精神医学、ライヒ派の心身医学、バイオエナジェティクス、パスワークを統合し、コアエナジェティクスとしてまとめあげた。一方エヴァは、ジョンがもたらした心身におけるエネルギー的な要素をパスワークに統合し、精神-霊体-肉体を統合していくプロセスを発展させた。(中略)二人の専門性と情熱がひとつになり、パスワーク・コミュニティを発展させてきた。」

(大前みどり著・論文「支援者側のスピリチュアルな視点が被支援者に与える影響とその意義ーパスワーカーへのインタビューから」より引用)


今回は、パスワーク・コミュニティーの成立に大きな貢献をされた、ジョン・ピエラコスについて調べてみました。



ジョン・ピエラコスは、1921年ギリシャで生まれました。

第二次世界大戦の混乱期にギリシャを離れて渡米し、医学部に入学。その後、精神医学の博士号を取得します。

当時、「オルゴン」と自ら名付けたエネルギーを研究していたウィルヘルム・ライヒと出会い、後の共同研究者となるアレクサンダー・ローウェンと共にライヒに師事します。ライヒの指導のもと、ジョンはエネルギーフィールドを観察する能力を育てながら、自身のワークとライヒとの研究を続けました。この学びはライヒがFDA(米国食品医薬品局)に訴えられるまで続きましたが、ライヒと当局との問題によって医師免許が剥奪されるのを恐れ、ジョンはライヒのもとを離れます。

後にジョンは、この出来事について、ライヒを脅威と見なしたアメリカ精神医学会の圧力からことが始まり、ライヒとそのグループの誰もがお粗末な対応しかできていなかったと著書に書いています。


「ライヒは私の人生で極めて重要な人物だったので、そのような時期に彼のもとを去ることには深く心が痛んだ。彼には内なる火があった。その場所で、私は彼と繋がっていたのだ。」“Eros, Love and Sexuality” by. John C. Pierrakos より引用


ライヒのもとを離れたジョンは、臨床の傍ら、アレクサンダー・ローウェンと共にバイオエナジェティックスと名付けた身体精神療法を開発します。ジョンとローウェンは、ライヒが患者にワークさせる際、臥位で呼吸法をさせるのを観察しながら、あらゆる動きの可能性を広げる立位の姿勢の重要性に気づきました。そのことから、人が安全を感じつつ可動性を広げられる「グランディング」の概念も展開させていきます。

ジョンと共に研究していたことのあるバーバラ・アン・ブレナンは、著書の中でバイオエナジェティックスについて以下のように述べています。


「身体と精神の統一性を重視し、患者の精神的ブロックは身体の構造や緊張、動きのパターンに表現される、との考え方に基づき、呼吸法、発声法、各種の筋肉エクササイズなどを通して身体を活性化することで肉体レベルのブロックを取り除き、これにさらに心理分析的な手法を併用して心理レベルのブロックからの完全な解放をめざす。」(バーバラ・アン・ブレナン著「光の手」より引用)


バイオエナジェティックスを順調に展開させ、世間に周知もされていたジョンは、しばらくして仕事にも人生にも何かが足りないという感覚を覚えるようになります。

そんな折、ジョンは患者から、エヴァ・ブロックという女性がチャネリングの状態で提供しているレクチャーの記録を渡されます。そのガイドレクチャーを読み、ジョンは自身の仕事に欠けているものがそこにあると感じ、エヴァに会いに行きます。


「初めての出会いの時、彼女の濃く黒い目は、私の魂にまっすぐと魂の光線を送ってきた。彼女は活気にあふれて美しく、壮大な存在だった。私たちはすぐにお互いの仕事の補完的な性質を発見した。」“Eros, Love and Sexuality” by. John C. Pierrakos より引用


エヴァはジョンに会った時に、「あなたは私と結婚することになっている」と言ったそうです。チャネラ―ならではの、すごいプロポーズですね。

数年後、ジョンはエヴァと結婚し、バイオエナジェティックスにスピリチュアルな概念(ハイヤーセルフ、ローアセルフ、マスク、理想化された自己像、ライフタスク等)を取り入れたコアエナジェティックスを開発していきます。

ちなみに、バーバラ・アン・ブレナンのヒーリングスクールは、当初パスワークの概念とコアエナジェティックスのテクニックを取り入れたところから展開しています。


1969年、ジョンとエヴァの2人は、ニューヨーク州フェニシアにパスワークセンターの前身となる「新しい人類のためのセンター」を設立。続いて1973年、ジョンはコアエナジェティックスセンターを設立しています。

ジョンとエヴァは、1979年にエヴァが亡くなるまで共に仕事をしていました。人生を超えるライフタスク(魂の使命)でのパートナーシップでもあったことが窺われます。



PIJコミュニティーがお世話になっているシニアヘルパーのアリソンは、このフェニシアのパスワークセンターで学ばれていたそうです。この頃には、ニューヨークシティーにもう1つセンターができており、アリソンはパスワークの学費のためにニューヨークのセンターで働きながら、両方のセンターを行き来していたとのこと。


アリソンが初めてレクチャーを聴いたのは、ニューヨークシティーのセンターだったそうです。

同年エヴァは既に亡くなっており、生前チャネリングをされていた地下の部屋に沢山の椅子が並べられ、前にはエヴァの空の椅子が常に置かれ、チャネリングの際に必ず灯されていた美しい蝋燭のシャンデリアが、亡くなった後も変わらず灯されていました。電気が消され、シャンデリアの蝋燭だけが光る中で、エヴァの声が大巻のリールテープから流されていたそうです。

コミュニティーが人間としてのエヴァを失ったばかりの頃でしたが、エヴァのプレゼンスは至るところに感じられ、沢山のクラス、セレモニー、儀式、お祝いに人々が集い、とても生き生きとしていたということです。


ところで、フェニシアのパスワークセンターは後に、ダライ・ラマに売却されたとのこと。パスワークとダライ・ラマとの意外な繋がり!なんとなく嬉しい気分になるような。



ジョンに話を戻します。

Youtubeに、ジョン・ピエラコスのお弟子さん達が、彼の思い出を語っている動画がありました。パスワークセンターでのワークの話もされています。このお弟子さんたちは、現在もコアエナジェティックスの中核をなす方々のようです。ヘルパーシップの話もされていたので、略歴では見つかりませんでしたが、パスワークも学ばれていたのではと思われます。

動画の会話をまとめて、シェアさせていただきます。


ジョン・ピエラコスはサイキックとしての能力が高かったらしく、セラピストとしてその能力を最大限使っていたようです。(お弟子さん達は、サイキックではありません。)


意志タイプと感情タイプの混合であったようで、体系化したり構造化するのが苦手だったようです。彼は、自分のやっていることを説明できないし、それを話すこともできなかった。ワークショップなどをオーガナイズするお弟子さん泣かせだったようです。ワークショップ後に、はてなマークでいっぱいの生徒たちを丸投げされたお弟子さんが、笑いながらお話されています。

けれど、生徒たちは彼の存在を感じ、彼から溢れてくる愛で学んだ。彼は持てる力と愛を全て使い、愛のために存在全てで働いていたということが語られています。


とても個性的な人だったようで、色んなエピソードがありましたが、中でも彼が完璧な人ではなく、弱いところも傷つきやすいところもあったし、情熱のあまりやり過ぎるところもあったという話がありました。

あるワークショップの中で、1人の若い女性とワークしていた時、ファシリテーターであるジョンは、彼女の限界を超えてやり過ぎたそうです。彼女のみならず、グループ全体が不安で動揺し、オーガナイズしていたお弟子さんの1人が、それをグループの中で彼に指摘したというエピソードがありました。2人の時に話すべきかと迷ったが、勇気を出してグループの輪の中で彼に話したところ、ジョンは内側に深く入って暫く自分と繋がり、それを指摘したお弟子さんとワーカーの女性を呼んで静かに3人でハグをした。それを目撃したグループ全体が愛で繋がったというエピソードがありました。完璧ではないが、常に愛で修復することができるということを自らの不完全さから表したという話でした。


とにかく愛に溢れたセラピストだったようで、お弟子さんの一人が、ハートに足がついて派手なスカーフを巻いているようだったと仰っていました。


色んなレクチャーの中で、彼が最もよく話したのが、愛のレクチャーだったそうです。年齢を全く感じさせず、完璧な花婿のように喜びに溢れて、エヴァへの永遠の愛、パスワークガイドに対する愛、とにかく愛の喜びの中でずっと語り続けていたという話です。


そして、どこにでもある当たり前の景色を、深い喜びに溢れて見る人だったという話もありました。エネルギーフィールドを見ていたそうですが、サイキックの目を持たない人でも、彼の喜びに触れていると、いつの間にか、自分も新しい喜びの目で世界を見て新しい意味を見出したという話もありました。


お弟子さんたちの彼に対する愛が伝わり、動画を見ながらとても感動しました。時々親しみをこめて彼をジョークにしたりしながら、彼への尊敬と感謝の念を、深い愛情と共に語られています。

そして印象的だったのが、エヴァの名前が出ると、すごく独特な空気が流れます。ジョンのエヴァに対する愛への遠慮というか敬意というか繊細さというか、その時代に直接2人に接し、見ていた人たちにとって、いろんな思いがあったのだろうな~と感じました。



ジョン・ピエラコスのことを調べていて、その当時のスピリチュアルムーブメントの活気を感じました。すごくエキサイティングな時代だったことが伝わってきます。そして、今の時代の私たちが受け取っているエネルギーを学ぶ環境そのものが、先人たちの愛と情熱から創られた事実。そのことへの感謝と敬意を感じました。



【参照したサイト】

https://en.wikipedia.org/wiki/John_Pierrakos(wikipedia/ジョン・ピエラコス)

https://www.coreenergetics.org/autobiography-john-pierrakos/(コアエナジェティックス協会)

https://www.youtube.com/watch?v=ge2Ig5XBvVc(youtube/ジョン・ピエラコスを偲んで)

閲覧数:322回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page