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パスワークガイドレクチャー1996年度編集版の誕生

ガイドレクチャーは、パスワークの学びの真髄です。

文字で書かれたものではありますが、元々は、エヴァ・ピエラコスのチャネリングを通したガイドからの語りかけでした。人々はその場で、ガイドが話す内容を言葉だけではなくエネルギーとして受け取っていたのです。

ガイドは、レクチャーの中で繰り返し、彼の話す内容、そのエネルギーを人間の言葉に翻訳することの難しさを話しています。そしてその内容をマインドで理解するのではなく、感じるとることを勧めています。


シニアヘルパーのアリソンによると、レクチャーが下ろされるようになった当初、エネルギーが強すぎて、多くの人々はチャネリングが始まると寝てしまっていたそうです。多くの人が寝ながらエネルギーを受け取り、自然に優しい形で影響を受けることで、個人的成長とコミュニティーとしての成長が有機的に進み、だんだんと寝ずに聴ける人が増えていったという話を聞いたことがあります。(アリソンにとっても伝聞の話です。)


パスワークの核心であるガイドレクチャーですが、私たちの手に渡る以前に、録音やメモから文章としてまとめられ、数回の編集がなされています。


手を入れれば入れるだけ、元の形からは変化していきます。けれど、元のままでは、この叡智を残すことはできませんでした。この叡智をより利用しやすく、それが世界へ広がることに貢献する為、様々な議論と検討そして試みが成されたようです。


今日は、1996年度版の編集を手がけられた、ジュディス・サリーさんのレポート「レクチャー編集について」(1990年7月4日・2009年2月改定)から、内容をまとめてシェアさせて頂きます。ジュディス・サリーさんご本人については、昨年9月に別の記事でご紹介しています。


これは、パスワークのコミュニティーの中で、96年度版の編集企画がどのような経緯で始まったか、そして編集の基となったガイドラインについて、詳細にまとめられたレポートです。パスワークコミュニティーの変遷の様子が分かると同時に、パスワーカーとして、ヘルパーとして、学びの場を支え構成していた方々の思いが伝わる内容になっています。




エヴァがトランス状態でチャネリングしたレクチャーは、その場で録音されていました。エヴァ自身が、それを翌日、紙面に書き下ろしていたそうです。ガイドの「スピリット言語」を英語に通訳するのに、エヴァの言語能力は実に適切でしたが、その英語はいわゆる「良い英語」ではなかったそうです。(エヴァの母国はオーストリアでした。)年を経て、エヴァの英語は進歩したものの、それでも彼女は、自分が書き起こした原稿には編集が必要であることを知っていたと、ジュディスは書いています。


「何年間にもわたって、沢山の人々がエヴァを助けて、レクチャーを編集していました。エヴァは感謝の念を持ち、批判的であることは決してありませんでした。編集の質に対するエヴァの興味の無さは、彼女が録音テープを保存しておくことに対して全く興味が無かったことと似ています。エヴァは、ホセ・アセンシオが録音を守る為に彼女を止めるまで、テープを上書きして使い続けていました。」(初期の録音は残っていない。)


60年代に、エヴァは、ジュディスとご主人のジョンに編集を頼むようになりました。ジュディスによると、それ以前は別な人がアバウトに編集していたようです。

ジョンは英語学の教授で、ジュディスも編集と出版を専門的に学んでいました。彼らは、編集がもたらす歪曲のリスクも分かっていたので、レクチャーを歪めないよう、慎重に編集に取り組みました。

けれどその当時、ジュディスもジョンも、自信を持って編集できる程ガイドの教えは理解できていなかったと書いています。録音から書き起こすエヴァ自身にとっても、ガイドが伝える教えは新しいものだったそうです。結果的に見ると、自分達が当時行っていたような編集をする為には、全体を通した理解が必要だったとジュディスは書いています。


「私たちが編集した原稿は、目を通し、再読できるようエヴァに戻しました。しかし、エヴァは、私たちが変更した内容について問うことは決してありませんでした。それは編集に間違いがなかったからではなく、彼女はそれがオッケーであることを信じていて、そのことで時間を費やしたくなかったのだと思います。それから、モイラ・ショー(50/50ワークの創始者)がそれをタイプし、エヴァが再度確認した上で、その原稿は複製されました。残念なことに、彼女はオリジナルの書き起こし原稿は全て破棄していました。」


その後、ジュディスは、自分たちの原稿が、その後、事務方でも再編集されていたことを知ったようです。様々な人が関わり、それぞれの観点から編集を行っていましたが、オリジナルのコピーをチェックしようという人がいなかった為、当時はいくつものコピーやメモがやり取りされていたようです。


「全ての編集は最高の意図の下で為されていましたが、出来上がったものは到底、専門的な標準には達していませんでした。」


レクチャーを関係者以外にシェアする時に恥ずかしく感じるという声が多く、90年頃に、財団理事達はジュディスとジョンに、本格的な編集を依頼したそうです。ジュディスとジョンは、長い学びを経た多くのパスワーカー達を集めてチームを組み、後に96年度版と呼ばれる編集を完成させました。その時には、入手できる限りの古い写しを使いましたが、情報が欠けているものもあり、人々の記憶や記録を調査しながらの編集作業だったようです。


その後、当初の味わいやスタイルを再現するという企図により、財団理事達は、モイラ・ショーとそのチームに、同じ元原稿から、なるべく編集を最小限にして味わいを残したものを作成するよう依頼したとのことです。それは、「未編集版」と呼ばれました。現在、この2種類のレクチャーがパスワークでガイドレクチャーとして認められています。


ジュディスのレポートの中では、編集方法についての詳細なガイドラインを載せています。中でも読んでいて面白かった項目が、「人(MAN)の使用を避ける」という部分でした。


エヴァは、チャネリングしていた時代の語彙で話しており、人間全般を指して MAN(男)と呼ぶその言葉の選択に、当時は誰も問題を感じていませんでした。けれど編集作業に当たった90年代のアメリカは、80年代に下火になったように見えたフェミニズム運動が再び拡張している時代でした。当時の出版業界でもこの、人を指してMAN(男)と呼ぶこの指示名詞を避けることが主流となっており、ジュディスはこの部分で非常に悩んだようです。


「ニューエイジのムーブメントの使命の一つは、平等にするということです。人生の全ての領域において、差別を撤廃すること、そして含めていくことが、普遍的な姉妹兄弟愛の水瓶座のもとの重要な鍵となります。ガイドは、このニューエイジの偉大な誕生者の1人です。多くの人々へ語りかけるガイドのメッセージが弱体化せず、人々の意識に打ち消されることのないよう、いくつかのハードルを排除しなければなりませんでした。」


「初めて講義を読んだ人に、『まあ、40年前の話だからしょうがない。気にしないでおこう。』と理解してもらえることは期待できません。ガイドのメッセージは現代的であり、緊急的に必要とされており、現代風な言葉に直す必要がありました。」


そして、ジュディスはパット・ロドリゲスがチャネルするエマニュエルに、ガイドレクチャーの中の「人(MAN)」を編集カットすることについてリーディングをしてもらったそうです。


「エマニュエルは、そのことを支持しました。彼は、ワンネスの名の下に、あふれる愛と叡智と共に語り、それによって、私はこの議論の最も調和がとれた解決法が可能な次元に引き上げられたように感じました。一番大事なことは何なのだろうか?」


当時、パスワーク財団のリーダー達は、多くのインスピレーションやガイダンスから、パスワークを広げていくことを決めていたそうです。第一回目のパスワーク国際リーダーシップ会議の参加者に向けて、ドノバン・テセンガ(「防御なき自己」のスーザン・テセンガのご主人)はこのように呼びかけました。

「パスワークはその使命の大幅な拡大への入口にあります...世界はあなたのメッセージを受けとる準備ができており、熱心に待っているのです。」


ジュディスは、口頭で与えられるレクチャーではなく、読まれることとなるレクチャーには、明快さが必要であると書いています。他では見つからない自己変容のツールを探す、これからの人々の為だけではなく、これまでパスワークを学んできたパスワーカーの為にも、編集版は文章として明快である必要があると。

また将来、レクチャーが多くの言語に翻訳される可能性についても書いています。


「ガイドレクチャーの勉強は、ぎこちなく書かれた文章を読み解く苦労がなかったとしても、十分に難しいものです。私たちは、これからレクチャーを手にする多くの『英語を話さない読者』に対しても、明快さと読みやすさを提供する義務があります。」


最後に、ジュディスはこのようにレポートを締めています。

「非常に注意深く慎重に編集したにも関わらず、全ての解決策が最適ではないことは良く分かっています。けれど、この編集の全プロセスが土台とするガイドラインは健全で必然的なものです。1996年版編集はパスワークの功績であり、私たちが移行していく新しい時代の重要な布石であると私は確信しています。 」




ジュディスが感じた躊躇と彼女の個人的なプロセスは、おそらくPIJでガイドレクチャーを翻訳されている方々、クラスの講義や個人セッションの通訳をされている方々、PIJの方向性を検討する理事の方々も感じているものではないかと思いました。

完璧には出来ないことを知りながら、最大限の健全さを探求しつつ、出来ること、やるべきことをするというジュディスのポジティブな意図から、受け取るギフトが沢山あるように感じました。





☆ PIJでは、未編集版を主に翻訳しており、96年度版の翻訳もいくつかあります。未編集版の翻訳の場合でも、どうしても読めない部分がある場合には、96年度版を読み込んだ上で、未編集版を翻訳しています。

PIJ翻訳済みレクチャーの一覧はこちらから。


☆ パット・ロドガスト(1926年〜2012年)

パスワークコミュニティーの初期メンバーであり、スピリチュアルリーダーの1人。彼女がチャネルしたエマニュエルというスピリットの愛の教えは本になっており、日本でも3冊出版されています。「パスワーク」(ナチュラルスピリット社)の本の帯には、バーバラ・ブレナンと共に、彼女の献辞が載っています。

エマニュエルの翻訳本一覧はこちらから。


☆ ジュディス・サリーさんをご紹介した以前のブログはこちらから。


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